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企業報告の進化-Beyond Finance-

 かつて企業は、年次報告書(annual report)、CSR報告書、サスティナビリティレポート等非財務諸表を任意で開示していましたが、2013年に国際統合報告評議会(International Integrated Reporting Council: IIRC)が提唱した「国際統合報告フレームワーク」により、統合報告書の作成が世界的に広まりました。

 非財務情報の開示に関する議論は、経営環境と実態の大きな変化にもかかわらず、企業報告がこれに適切に対応していないという課題に基づいて生まれましたと言われています。つまり、企業の価値は以前のように財務情報だけで十分に説明できるものではなく、財務情報には表れない不可視の資産(ブランド、技術力、人材など)も重要な要素となり、企業の長期的な視点の元いかなる価値の源泉をもっているかが企業価値に影響すると考えられるようになったからです。また気候変動の問題が注目される中で、短期的な視点ではなく、より長期的な市場経済のメカニズムを構築しようとする国際社会の動向もあると考えられます。
 このような背景から、経営者は未来志向で説得力のあるビジョンと戦略の提示、長期の価値創造モデルを提示し、関連する効果的なガバナンスの構築とパフォーマンスの方向が求められるようになりました。さらに、ステークホルダーは企業の長期的な方向性に興味を持ち、その活動を理解した上で行動する事が重要となります。そこで両者による対話を進めていく基盤として、統合報告書が位置づけられています。

 ここで重要なのが、単に財務諸表に非財務情報を追加するのではなく、統合的思考(integrated thinking)に基づく新しい概念が開示の基盤となる事です。企業は社会環境と自社のさまざまな資本との関係に基づいて、どのような戦略や中長期的な価値創造ストーリーを構築するかを考え、それを企業の個性が表れる言葉やビジョンで伝える事が重要となります。

 日本での統合報告書発行企業数は2013年の79社から2023年9月現在には934社という調査結果が出ており、増加の一途をたどっています。(企業価値レポーティングラボより)
「作成」フェーズはある程度の実績が積まれてきたと思われますが、どのように統合報告書にお墨付きをつけるか?(保証するか?)の実務は始まったばかりです。
 国際会計士連盟(IFAC)と国際統合報告評議会(IIRC)が、統合報告への保証ニーズが今後高まる事を見据えた共同イニシアチブで2021年3月に以下を発表しています。
https://www.integratedreporting.org/news/a-roadmap-for-accelerating-integrated-reporting-assurance/

今後どのようなアシュアランス(保証)の基準、実務が醸成されていくかは注目に値すると考えています。

有泉麻依子

有泉麻依子

【顧問|公認会計士】 これまで培った経験・知見を基に、日本・海外を問わず企業様の相談相手・伴走者でありたいと思っています。

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